こんにちわ、わらびです。
スラウェシ島の秘境タナトラジャ。
伝統葬儀のランブソロでは、多くの水牛たちが生贄に捧げられ死者を弔う。
トラジャ族の人々にとって水牛は非常に重要な動物とされ、それは富の象徴で、死者を天界へと導く神聖な動物でもあります。
そんな水牛たちが売買されるマーケットは、タナトラジャでは人気の観光スポットのひとつ。
大体週に1回くらいのペースで開催されるので、タイミングが合えばぜひ足を運んでみましょう。
水牛のマーケット

トラジャ族の人々にとって水牛とは、死者を天界へと運ぶとされ、葬儀にとって欠かせません。
葬儀のランブソロで多くの水牛が生贄に捧げられるのですが、一頭目の生贄が捧げられ、そこで初めて本当の死を迎えるともされています。
そんな、トラジャ族の最期に欠かせない神聖な動物である水牛。
それを売買するマーケットがランテパオでは定期的に開催され、タナトラジャでは定番の観光スポットにもなっています。
滞在中にちょうど開催日と重なったためガイドさんに連れて行ってもらいました。
開催場所
水牛マーケットの場所は、ランテパオの北側2kmほどの場所。
ボル市場のすぐ隣で開催されます。
開催日程と時間
水牛マーケットの開催日程は、決まった曜日に開催ではなく、6日おきに開かれているそうです。
ネットには火曜と土曜の週2回という情報もありますが、私が訪れたのは水曜日だったので、こちらの方はあまり信憑性は無さそうです。
開催日程に関しては以下のサイトから確認可能。
↳toraja.info
時刻に関しては、8:00~16:00となっています。
服装について
水牛のマーケットは、牛糞と泥でぬかるみ、牛のケツとケツがぎゅうぎゅうに押し合う、なかなかエキサイティングな場所。
遠目から眺める分には問題ありませんが、間近で見学したい場合は、それなりの覚悟が必要です。
牛糞もケツもなんのその!
という猛者には関係ない話かもしれませんが、一般的な旅行者は、しっかりした靴と、牛糞で汚れても泣かない服装をおすすめします。
マーケットの様子

ガイドに連れられてやってきた、タナトラジャ名物の水牛マーケット。

6日に一度、周辺の村々から水牛が一堂に会するという、いわば牛の見本市。
ちょうど今はランブソロのハイシーズン。
この時期には身分の高い人の葬儀も多く行われるため、普段よりも立派で高価な水牛が集まるらしい。
まあ、普段がどんな感じなのかは知らないけど。

観光客でも会場の中に入ることはできるが、牛のケツがずらりと並ぶ密集地帯に突入する勇気はなかなか出ないようで、遠巻きに眺めている人が多い。
まあ、尻込みってやつですね。ケツだけに。
私も尻込みしていましたが、ガイドがずんずん中に進んでいっちゃうので、止む無く牛の群れの中へと。

こちらが一般的な黒一色の水牛。
価格は1頭あたり数万〜数十万円ほどで、値段の決め手は主に角の大きさ。

ランブソロで生贄にされた水牛の角はトンコナン(伝統家屋)に飾られ、代々受け継がれていきます。
つまり、水牛の角はその家の財力と誇りの象徴なのです。


商談中?

売買が成立したのでしょうか?
札束を数える人の姿もちらほら。
安くても数万円、時には数十万円を超える高額取引。
とはいえ、まさか現金一括払いってことはないよね?
たぶん前金とか手付金なんじゃなかろうか。

しばらく牛の群れの中を右往左往していると、背後ではバシャバシャと勢いよく放尿する牛、前では水をかけて牛を洗う人。
足元は糞尿と泥が入り混じり、文字通りカオス。
まさに「前門の虎、後門の狼」。
いや、牛なんですけどね。
何はともあれ、もはやこの先を行くには死地を歩む覚悟が必要。
…というのは、大いに大袈裟である。
最初は足場を気にして歩いていたが、途中からどうでもよくなり、鼻炎で臭いも分からないし、靴が汚泥まみれになろうが気にしていられない。
天界に導かれるのは死者だけじゃなく、旅行者の靴もだったのかもしれません。
ちなみに現地人は普通にサンダルとか履いています。


黒い牛の中に、ぽつんと混じる白い水牛。
これはアルビノの水牛で、非常に珍しく神聖な存在とされています。
そのため価格も一気に跳ね上がり、ランブソロの最後に生贄として捧げられ大トリを飾るという。


この日見かけたアルビノの水牛の中でも、ひときわ目を引いた一頭。
角の大きさに加え、目までアルビノであること、そして体の模様が島のようにくっきりしているとさらに価値が上がるらしい。
島国インドネシアかつ、トラジャ族の先祖が海を渡ってきたことに由来する基準なのでしょうか?
ガイドさん曰く、この牛は最高ランクでおよそ500万円ほど。
その希少さと高額ぶりから、彼はこの牛をポルシェと呼んでいました。
ボル市場
牛のマーケットの見学の次は隣にあるボル市場の観光へ。


観光といっても、市場に並ぶ商品は基本的に野菜や生活雑貨など。
こんなことを言うのも失礼かもしれませんが、活気あふれる、且つどの町でも見れるような有り触れた光景が広がっています。

別段珍しいものはありませんけど、強いて言うなれば、タナトラジャの伝統工芸の小刀でしょうか?
今はもう持ち歩いている人は見かけませんが、同じインドネシアの島々にも似たようなものがあり、スンバ島では今でも男性が腰に差しているのを見かけます。
そんな有り触れた市場において私の興味を引いたのがタナトラジャ名産の「トラジャコーヒー」。

市場の一角にて焙煎され、ふと香るのはトラジャコーヒーの芳ばしい香り。
この地域はコーヒーの名産地としても知られており、タナトラジャコーヒーはかつて幻のコーヒーと呼ばれていたそうです。
日本で買えばそれなりにいい値がするが、ここでは100gあたりわずか100円ほど。
焙煎したてのコーヒーなんて、お土産にぴったりなんじゃない?
そう思った私は、豆と粉をそれぞれ100gずつ購入。
…が、そもそもコーヒーが飲めない。
結局のところ、すべて友人へのお土産になった。
ただ一つ気づいたのは、「焙煎したて」という言葉の儚さ。
日本に持ち帰るころには、焙煎の香ばしさなどとうに過去のこと。
私が買ったのは「焙煎したてだった」コーヒーなのである。
飲んでいないので、味のほどは分からない。
けれど、幻と呼ばれたのも何となく分かる気がします。
私にとってタナトラジャコーヒーは、飲めぬまま、幻の味だったのですから。
おわり
牛のケツと牛糞。そしてコーヒー。
色は似ていてもそれらは似て非なる存在。
でもまあ、うんこから採れるコーヒーもあるくらいだから、うんこもコーヒーも大差ないかもしれませんね?
いずれにせよ、一期一会の旅行。死ぬ訳じゃないんだし、たまには牛のケツに包まれるのもまた一興ではないでしょうか?















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