歩いて島を一周。済州島で注目のトレイル「済州オルレ」とは?

こんにちわ。わらびです。

韓国最南端の島、済州島。

この島には、観光地を巡るための道ではなく、歩くためだけに存在する道があります。

どこか目的地を目指すのではなく、ただ歩くことそのものが旅行となる。

島を一周するこのトレイルは、観光地を巡るためのものではありません。むしろ、観光という面からこぼれ落ちた島本来の風景を繋いでいく道。

その名は「オルレ(올레)」。

今回は、目的地のない不思議な旅行の道、オルレについて紹介してみようと思います。

済州島のオルレとは?

韓国最南端に浮かぶ火山の島、済州島

韓流ドラマのロケ地やリゾートとして知られ、日本でいう沖縄のような存在のこの島で、近年じわじわと注目を集めているのが「オルレ(올레)」というトレイル。

島をぐるりと一周するこのトレイルは、ただの観光ではなく、歩くことそのものを目的としたアクティビティです。

オルレとは何か?

オルレ」とは、済州の方言で「家の門から通りへ続く細い路地」という意味の言葉。

もともとは観光用語ではなく、島の暮らしの中にあるごく日常的な言葉でした。

つまりこの道は、島民の生活の延長線上にある小道をつなぎ合わせたもの。

舗装された道路ではなく、昔から人々が行き交ってきた道。そこを歩くことで、旅行者は自然とこの島の暮らしの中へ入り込んでいきます。

黒い溶岩の海岸線。大小さまざまなオルム(寄生火山)。石垣に囲まれた静かな路地。

集落を抜け、畑の脇を通り、やがて海へと出る。歩くたびに、この島の輪郭が少しずつ見えてきます。

決まった目的地を目指すのではなく、歩くことそのものが旅行。観光客としてではなく、この島に暮らす人と同じ目線で歩いてみる。

リゾートとしての済州では見えてこない、静かで穏やかな時間が流れる本来の姿に出会えるのが、オルレの醍醐味。

済州島オルレ公式サイト

オルレ誕生のきっかけ

韓国では、サンティアゴ巡礼の人気が非常に高いことで知られています。

その火付け役となったのが、韓国の女性作家のキム・ナムヒ。

彼女が巡礼路を歩いた体験を綴った書籍は大ベストセラーとなり、多くの人が巡礼に関心を持つきっかけとなりました。

そしてオルレは巡礼に魅せられた一人の女性、済州島出身の「徐明淑」氏によって作られます。

サンティアゴ巡礼の一場面

巡礼者たちは何百キロもの道のりを、自分自身と向いながら歩き続ける。その姿に触れた彼女は、歩く旅が持つ力に気づいた。

巡礼路を歩いた経験に感銘を受け、自分の故郷である済州島にも、誰もが島の魅力を楽しみながらゆっくり歩ける道を作りたいと考えたのです。

そして2007年、その発想を自らの故郷である済州島に持ち帰ります。

観光開発が進み、大型リゾートやバスでの移動が主流となる中で、「歩くことでしか見えない済州」を取り戻したい。

そんな思いから最初のオルレコースが開かれました。

それは単なる観光プロジェクトではありません。地域の人々とともに道を探し、昔から使われてきた小道をつなぎ直し、新たな価値を吹き込んでいく。オルレは島の記憶を辿る試みでもあったのです。

2007年に始まったオルレは、今や済州島に留まらず、日本やモンゴルにまで広がりを見せています。

宮城オルレ公式サイト
九州オルレ公式サイト

コース概要

済州オルレは、島をぐるりと一周する長距離トレイル。

1~21までの番号があり、分岐コースも含めコースは全部で27。総距離は437km。

1コースあたりの距離は10〜20kmほどで、基本的には1日で歩ける設定。すべてを通して歩くと約3週間ほどですが、区間ごとに分けて楽しむことも可能です。

済州島オルレ公式サイトより引用

各コースはそれぞれ1日で歩ける距離に区切られています。

仮に1日20km歩いたとして22日。自分の場合は、途中何か所かバスを使いましたが11日で終わりました。

島の自然の美しさを見ながら歩くというのがコンセプトなので、正規ルートには森の中や海岸の岩場など足場の悪い箇所が多くありました。本格的な登山のような険しさはないものの、思っている以上に歩きごたえがあります。

それでも参加者には高齢者も多く、体力に自信がなくても挑戦しやすいかと思います。

自由な歩き方ができるトレイル

オルレの特徴のひとつが、その自由度の高さ。

コースには番号が振られていますが、順番通りに歩く必要はなく、スタート地点もゴールも固定されていません。

今日は海沿いで、明日は森の中を。島の東側を歩いた翌日に西側へ移動することもできる。

島の景色を堪能しながら歩いて1周することが目的となっているので、サンティアゴ巡礼とは違い、毎日宿を変えながら移動し続ける必要もない。

済州市と西帰浦市に拠点を置き、バスでスタート地点へ向かうスタイルが一般的で、荷物を宿に置いて身軽に歩けるのも魅力です。

コースに広がる多様な風景

オルレの魅力は、コースごとにまったく異なる表情を見せることにあります。

ある日は、黒い玄武岩が連なる荒々しい海岸線を歩く。深い青色の海と波が打ち寄せる音。

これほど綺麗な景色があるというのに、ビーチでもないのでここに観光客の姿はない。島がリゾートになる前からずっと連なってきた島の原風景。

またある日は海沿いに干されたイカ。そしてその遠くには城山日出峰の姿が見える。

南国のリゾートとはかけ離れた飾らないこの光景。ここに根付く人々の生活が垣間見えるような気がします。

オルレには離島のコースもいくつかあります。

コース10-1、加波島は1周4kmほどの小さな島。オルレを歩かなければ来ることは無かったでしょう。

いずれも、オルレのコース上で見るものの多くは、リゾートとしての済州ではありません。観光地の喧騒とはかけ離れた、この島の持つ本来の美しさと言えるでしょう。

サンティアゴ巡礼との関係

済州島オルレは、サンティアゴ巡礼をコンセプトに作られたことから公式にコラボも行っており、サンティアゴ巡礼の証明書があれば共同踏破認定とメダルを受け取ることも可能となっています。

これは逆も同じで、オルレの完了証明書をサンティアゴの巡礼事務所で見せると、共同踏破認定を受け取ることが可能となっています。

共同踏破認定書
共同踏破認定メダル

自分は五百何十人目かの共同踏破達成者でしたが、こうしたつながりも面白さの一つです。

巡礼経験者は挑戦してみてはいかがでしょうか?

おわり

オルレの原点となったサンティアゴ巡礼も含め、日本のお遍路さんなど、実は今‟歩く旅行”の人気が急速に高まっています。

オルレは未だ比較的歴史が浅いため外国人にはあまり認知されていませんが、サンティアゴ巡礼経験者など、これからは国外からの参加者も増える見通しです。

済州島元来の風景や文化を体験するのもそうですが、‟歩く”という近代文明に頼らない観光スタイルが、現代人の忘れてしまった何かを思い起こさせてくれるのでしょうか?

もしかしたらそれが今のトレンドに根ざしているのかもしれませんね。

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