こんばんわ。わらびです。
カンボジアのアンコール遺跡といえば、まず思い浮かぶのはアンコール・ワットでしょう。
しかし、アンコール・ワットだけがアンコール遺跡のすべてではありません。
巨大な城壁に囲まれたアンコール・トムの中にも、個性的な寺院がいくつも残されています。
高く積み上げられた3層の基壇と、正面へ一直線に伸びる長い空中参道。寺院の一部を改造して造られた特殊な涅槃像。
今回は、「バプーオン寺院」について、見どころや歴史を紹介していきます。
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バプーオン寺院とは

バプーオン寺院は、アンコール・トムの中心部に位置するヒンドゥー教寺院。11世紀中頃、ウダヤーディティヤヴァルマン2世によって建設されたとされています。
当初はヒンドゥー教のシヴァ神を祀る寺院として造られましたが、その後、アンコール地域に仏教が広まるにつれて仏教寺院へと姿を変えていきました。
巨大な3層の基壇が上へ向かって細くなっていくため、全体を見るとまるでピラミッドのような姿をしています。
発見当初は大きく倒壊していましたが、フランス極東学院の尽力により、約60年かけておおよそ元の姿を取り戻しました。
ちなみに「バプーオン」という名前には「隠し子」という意味があるそうです。
王家にありがちな、妾との間にできた子ども……かと思いきや、意外にもその由来は、王様の後ろめたい事情とはまったく関係ありません!
バプーオン寺院の見どころ
長く伸びる空中参道

バプーオン寺院の正面には、入口から寺院へ向かって一直線に石造りの参道が伸びています。

周囲より一段高い場所に造られているため、まるで空中に浮かんでいるように見え「空中参道」とも呼ばれています。
…といっても、他の遺跡群でも参道は地面より高い位置にあるので構造としては一緒。バプーオンは参道のみが高く作られているので視覚的にそう見えるという訳。

この参道、写真で見るよりも実際に歩いてみるとなかなか長い。それに、雨季になると周りが水没し、水に浮かぶ通路のようにもなるそうです。

先には巨大なバプーオンがそびえているため、歩けば歩くほど寺院が少しずつ大きくなっていきます。
アンコール遺跡では、寺院そのものだけでなく、こうした寺院へ向かうまでの視覚的な演出も見どころのひとつ。当時の人々も、この長い参道を歩きながら、少しずつ巨大な寺院を見上げていたのでしょう。
ピラミッド型の寺院

参道を渡りきると、いよいよバプーオン寺院の本体です。
3層に積み上げられた巨大な基壇は、上へ行くほど小さくなっており、全体を見るとまるでピラミッドのよう。
11世紀にこれだけ巨大な石造建築を造ったというだけでも驚きですが、この寺院がアンコール・ワットよりも前に造られているのもまあまあ凄いのではないでしょうか?
まあ、そもそも比喩にされているピラミッドが、これよりもはるかに前の時代且つ巨大なので、そんなに凄い気はしませんけど。
階段を上っていくと、下から見上げていたときとはまた違った景色が楽しめます。

現在の高さは34mですが、倒壊前の高さは50mを超えていたとされています。昔の人たちはこれ以上に高い光景を見ていたのですね。
空中回廊

バプーオンの中でも、個人的にぜひ見てほしいのが「二段目にある回廊」です。
バプーオンには三段の基壇がありますが、二段目まで上がると、そこに石造りの回廊がぐるりと寺院を取り囲んでいます。
ここがなかなか面白い。
回廊には小さな窓が並んでいるのですが、窓から外を覗いてみると、その先には地面がありません。

普通に空中です。
高い場所に造られた回廊なので、窓から外を見ると、下に広がる景色をかなり高い位置から眺めることができます。
アンコール遺跡には、アンコール・ワットをはじめとして数多くの回廊があります。
しかし、これほど高い場所にある回廊はかなり珍しく、バプーオンならではの景観といってもいいでしょう。


この回廊の中を歩いていると、ここがどこにあるのか分からないような、不思議な感覚に陥ります。
西壁の涅槃仏

バプーオンの西側には、巨大な涅槃仏があります。
これはバプーオンが後の時代に仏教寺院へと改変された際に造られたものと考えられています。

ただし、巨大すぎるうえに建物と一体化しているため、最初は「これが仏像なの?」と思うかもしれません。
作り方も、石を削り出すのではなくブロックを積み上げています。分かり易く言えばレゴブロックです。
彫刻のようなメリハリは無いので、知らずに見ても歪んだ壁くらいにしか思わないかもしれません。よく見ると、巨大な仏像の輪郭を確認することができます。
寺院そのものが巨大なので、仏像まで巨大。
アンコール遺跡は、何かとスケールがおかしいです。
おわり
アンコール・トムではバイヨン寺院や象のテラスなど有名な遺跡が集中し、バプーオンはあまり脚光を浴びません。
だからといって、他の遺跡と比較して見劣りするという訳では決してありません。
むしろ、大きな寺院なのに観光客が少ないというのは個人的に嬉しいところ。遺跡をじっくり歩きたい人には、かなりおすすめできます。












その昔、シャム王とカンボジア王は兄弟だったといわれています。
あるときシャム王は、自分の息子をカンボジア王のもとに預けたいと申し出ました。カンボジア王もこれを喜んで受け入れたのですが、廷臣たちは、この申し出を「シャム王がカンボジアを乗っ取るための策略なのではないか」と疑います。
そして、なんとも物騒なことに、シャム王の息子を殺してしまったのです。
これを知ったシャム王は激怒。大軍を率いてカンボジアへ侵攻しました。
そこでカンボジア王妃は、自分の子どもたちまで報復として殺されるのではないかと恐れ、子どもたちをこの寺院に隠したと伝えられています。
これが「バプーオン(隠し子)」という名前の由来になったという説です。