【巡礼11~13日目】カジャルク~ラスカバヌ。お酒のために歩く

こんにちわ、わらびです。

今回はスペイン巡礼「ル・ピュイの道」、11~13日目まで歩いた時の記録になります。

さして景色の良い訳でもなく、疲れもしないので達成感も無い。

何の目的も無くひたすら歩き続け、安い酒を飲み続ける日々に何の意味があるのだろう?

倦怠期じゃないけど、そんな感じの巡礼の日々が続くことになります。

巡礼11~13日目の様子

11日目、大急ぎ

巡礼11日目。

本日の目的地はスーパーマーケットもない小さな村。

そう、つまりは買い物ができないんです。

買い物ができないということはビールも買えないということなんです。

これは一大事。

途中通過する街にもスーパーはあるので、そこで買い物を済ませようとも思いました。

フランスのスーパーは午後12時半から2時間ほど一時閉店するのですが、ちょうどそこら辺を通過する予定時刻が閉店時間なわけだ。

ということで、12時半前までにスーパーへ寄るべく未だかつてないほど急いで先へ進みます。

全ては酒のために。

朝7時半、いつも通りの時間に宿を出発。

いくら急いでいても早く出るという選択肢はない。

実はこの日は2km以上に渡る登りのある難所が待ち受けていたんです。

…が、わずか30分で踏破。

しかも25kgのバックパックと共に。

登りで苦戦する巡礼者を次々と追い越し先頭に躍り出る。

坂道の怪物ここにあり。

急いだおかげで11時半には到着。

沢山汗をかいてしまった。

これが今日のお昼ご飯。

パン(液体)とスナック菓子。

ビールとは非常に便利なもので、栄養補給に加え水分補給も可能なんです。

難点といえば、食後少し行動が鈍くなるところ。

買ってから気が付くけどちょっと度数が高い。

それだけ栄養価が高いということなのだろう。

今日は大分急いできたので目的地まであと2時間程度。

水分を失った体に急激にアルコールを流し込んだせいで酔いが回った気もする。いつもより少し長めに休憩をとることにしよう。

バックパックにはペットボトルの水が2本とワインが1本入っています。

普通の人間であれば、これを背負って歩くのはせいぜい数キロが限界。

ほろ酔い気分で歩いて目的地の村「バッハ|Bach」に到着。

この日の巡礼宿のオーナは非常にホスピタリティ溢れる方で到着早々ビールを御馳走になってしまった。

それに加え宿泊料は寄付制(自分で支払う金額を決める)で、無料の夕食と朝食までついてくる。

おもてなし精神が凄い。

こんな巡礼宿は後にも先にも初めて。

白くてデカいわんこもいて人懐っこくてなんと可愛いことか。

この日は自分以外にオランダ人家族の巡礼者たちがいて、子供たちと一緒にウォーリーを探していました。

フランス語版では「ウォーリー」ではなく「シャーリー」となっています。

子供の時はあれだけ見つけ出すのに苦労したウォーリーもといシャーリー。

大人になって物事を注意深く観察できるようになったらいとも簡単に見つけ出せてしまいます。

大人の力で子供たちをコテンパンに負かし、楽しい1日でありました。

こう書くと、子供をコテンパンにしたのが楽しかったという碌でもない大人のようになってしまいますが、異国の子供たちと同じ時を過ごしたのが楽しかったというだけです。

移動距離

11日目

カジャルク→バッハ:30.8km
総移動距離:316km

巡礼宿情報

宿情報
名前La rose de bach
住所D22, 46230 Bach, フランス
料金寄付(金額は自分で決める)
設備WiFi、無料の夕食と朝食サービス、自炊可能なキッチン

深夜、自分の部屋の扉がゆっくりと音を立てて開く物音で目が覚めて、建付けが悪くて開いたのかと思いしばらくドアの方を見ていたら、全裸の子供が通り過ぎて行くのを目撃し心臓が凍り付くような思いでした。

隣の部屋で寝ていたオランダ人家族の子供がトイレに起きただけのようでした。

しかし全裸で寝るのか。

12日目、激安の殿堂「Lidl」

巡礼12日目。

今日はバッハという村からカオールという今までで一番大きな街へ。

そこまで至る道は殆ど平坦で特筆すべきことも無いし割愛するとしよう。

街の入り口付近には巡礼者向けのオフィスがあり、通りかかったところで呼び止められる。

観光案内所かと思ったら、個人で巡礼者たちを応援している夫婦が経営する事務所のような場所でした。

ここでスタンプお貰い飲み物とチョコレートまで御馳走になりました。

バッハの巡礼宿のオーナー然り、2日連続で優しい人たちに出会い感謝せざるを得ない。

無神論者だけど。

そして今日、とうとうある大きい規模の街に到着し発見してしまいました。

…ヨーロッパの激安スーパー「Lidl」。

スーパーがあるのは街の郊外4kmくらいの場所。片道1時間弱、往復で8km。

面倒だけど、また歩かなければなりません。

カオールの街は蛇行する川沿いにありU字型、馬蹄のような形をしています。

街にかかる古い橋には要塞のような砦があり、観光名所のような感じになっています。

橋の欄干から水着を着た若者たちが次々と川に飛び込んでいく。

この橋から川に飛び込むのが街の若者たちの度胸試しにもなっているみたい。

さて、これがわざわざ何キロも歩いてやってきたお目当てのスーパーLidl

数年前ヨーロッパを旅行していた時散々お世話になっていた激安の殿堂。お酒は質ではなく量の私にとってはここはまさに聖地。

500mlのビールが一本で60円、1日では食べきれないような大きなパウンドケーキがたったの1ユーロ。挙げればきりがないけど、あまりの安さにいつも衝撃を受けていました。

数年越しの来店になります。

今日のお目当てはやはりワイン。相も変わらず、やっすい!

こんなに安いワイン味はどうなんだろう?

となるかもしれないが、フランスは安くても充分美味しいワインがたくさんあるので心配なし。

ビールも安いので買います。

欧州では同じユーロを使っていても、国産かどうかで大きく値段が変わります。

例えば、フランスでは国産のワインとチーズが安く、スペインでは生ハムとビール、ワインなどが安い。

とりあえず今日は、フランス産のワインとチーズ、ビールと野菜、チョリソーなどを買い込みます。

買い込み過ぎてめちゃくちゃ重い。

帰りもまた4km歩かなければならないので、気合を入れるため帰り用のビールで乾杯。

帰り用のビールとは何ぞや?

と思うかもしれないが、その名の通りスーパーからの帰り道に飲むためのビールである。

基本的にいつも帰り道にビールを飲みながら帰っています。

帰ってきたらチョリソーとビールで再び乾杯。

晩御飯を作っている最中、他の巡礼者にどこで買い物をしてきたのか聞かれ、Lidlに行ってきたことを話したら少し驚いていました。

確かに、往復で8kmくらいあるからそれはそうだと思う。

ここ最近、酒に対する執念が凄いが仕方がない。

綺麗な景色も観光名所も無いので、もはや歩く楽しみは酒しかない。

移動距離

12日目

バッハ→カオール:25.3km+8km
総移動距離:341.3km

巡礼宿情報

宿情報
名前Le Relais des Jacobins
住所12 Rue des Jacobins, 46000 Cahors, フランス
料金ドミトリー、17ユーロ
設備WiFi、自炊可能なキッチン、有料の夕食サービス

13日目、ウォーリーを探せを

まだ人の少ない朝の静かな時間。

川に写りこむカオールの旧市街が美しい。

相も変わらず今日の巡礼路も特筆するようなことは別段無い。

きっと無い訳ではないのでしょうが、2週間以上歩き続けた私の心は靴の裏の溝のように摩耗し、何も感じることができなくなっているのです。

救いは酒のみ。

普通の巡礼者であれば、通り過ぎていく小さな村、道端に咲く花、巡礼者同士の何気ない些細な会話で原稿用紙4,5枚分は書けるのでしょう。

私も酒のことであれば同じ量くらいの文章を書けるはず。

何も無いが強いて言えば、今日の巡礼路は道を示すマークがかすれているし、草に隠れているのでで見つけにくい。

白と赤のコントラストを注意深く探しながら歩いて行きます。

そうですね、白と赤を探すなんてなんだかウォーリーを探せみたいですね。

今日の移動距離はたったの21km。

果たして21kmという距離が「たった」のなのかは疑問だが、毎日30km以上歩く自分からしてみると短く感じてしまいます。

事実このくらいの距離であれば4時間ほどで歩ききってしまいます。

大して疲れもしてないし、する必要のない休憩を取る。

巡礼宿のチェックイン開始時刻は午後4時くらいが相場。

朝8時に出発したとして、ゆっくり歩いてもどこかで3時間ほど時間を潰さないといけません。

1時間ほど電子書籍を読んで時間を潰し再出発。

ペースがかなりゆっくりなので眠くなる。

さあ、少し歩いたらいい感じの公園があったので再び休憩。

いつもは白カビサラミだけども、少し安いというのもあってチョリソーを買ってみました。

ピリ辛だし酒が欲しくなる。

ここでもゆっくり休憩し、またダラダラと歩きはじめる。

本来辛く険しいはずの巡礼の道のりが、眠くなるほど退屈で疲れもしない。

出発する前は25kgの荷物を持ってどこまで歩くことができるか不安でしたが、いざ始まってしまえば、自分の並外れた身体機能が明らかとなっただけ。

普通の巡礼者たちは軽い荷物でも長距離を歩くだけでそれ相応の疲労が溜まり、ケガや不調と戦いながら幾多もの困難を乗り越える。

その果てにゴールへとたどり着くので、達成感や感動的な結末が待っているのでしょう。

きっと私は1600kmを歩ききったところで何も感じないのでは無いかと思う。

もう帰ろうかな?

…まあ、ここでやめるのもダサいので最後まで続けるけど。

今日の目的地「ラスカバヌ|Lascabanes」の村は小さくてスーパーも無い。

途中のルート上にもスーパーは無かったので、ちょっと高いけど仕方が無くバーでビールを飲むことになりました。

我慢するという選択肢は無いのである。

移動距離

13日目

カオール→ラスカバヌ:21.1km
総移動距離362.4km

巡礼宿情報

宿情報
名前Gîte D’étape Le Bouy
住所88Q6+56, 46800 Lendou-en-Quercy, フランス
料金ドミトリー、15ユーロ
設備WiFi、自炊可能なキッチン、有料の夕食サービス

肉体的にはまったく辛くはないけど、本当に何も無くて精神的に辛くなってきたような気がします。

だけどもそれは他の巡礼者たちも同じ。

むしろ疲れているだろうし、自分よりも辛いはず。

こんなのが後50日近く続くと思うと耐えられない。

それでも働くよりははるかにマシ。

遊び続けるのも案外楽じゃない

と、無駄に体力のある無職が申しております。

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