こんにちわ。わらびです。
イランでは42日間に渡り、全部で13カ所の都市を旅行してきました。
日本からイランを訪れる旅行者はそこまで多くないし、定番料理を除くと地方のグルメに関する情報はかなり少ないのが現状です。
幸い私はペルシャ語ができるので地方の郷土料理も簡単に調べることができ、おかげで食に関しては非常に充実したものとなりました。
イラン料理、ペルシャ料理というと、日本人からすると全く馴染みが無くイメージが湧かないかもしれませんが、どれも洗練されて美味しいものばかり。
この記事では、イランの定番料理と地方の郷土料理をご紹介させていただきます。
もくじ
- 1 イラン料理の特徴
- 2 イランの代表的な料理
- 3 お米とパン
- 4 肉料理
- 5 煮込み料理(シチュー)
- 6 スープ料理
- 7 イラン各地の郷土料理
- 7.1 アルダビール/ペイチャーグ・ゲイメ|پیچاق قیمه
- 7.2 アルダビール/特産品の乳製品とサラダ
- 7.3 イスファハーン/ベルヤーニー|بریانی
- 7.4 クルディスターン州/クルディスターン・キャバーブ|کردستان کباب
- 7.5 ケルマーンシャー/ダンデ・キャバーブ|دنده کباب
- 7.6 ケルマーンシャー/ホルシュ・ハラール|خورش حلال
- 7.7 ケルマーン/ボズゴルメ|بزقرمه
- 7.8 シューシュタル/ゴルメサブジー・シューシュタリー|قورمه سبزی شوشتری
- 7.9 タブリーズ/コフテ・タブリーズ|کوفته تبریز
- 7.10 マシュハド/マシュハドの羊肉料理
- 7.11 マシュハド/シャレ・マシュハディ|شله مشهدی
- 7.12 ヤズド/ゲイメ・ヤズディ|قيمه يزدى
- 8 まとめ
イラン料理の特徴
イランは広大な国土を持ち、主要民族のペルシャ人をはじめ様々な民族が暮らす多民族国家なので、それが反映され豊かで洗練された食文化を持ちます。
味付けの基本はハーブとスパイスですが、インド料理のような辛いものではなく穏やかな味になっています。
有名なものは「キャバーブ」と呼ばれるグリルした肉料理で、シチューなどの煮込み料理も数多くあります。
イスラム教国家なので豚肉は食べず、牛と鶏、羊がよく食べられます。特に羊の肉は臭みもクセも全く無いので、今まで苦手だった人でも余裕で食べれるのではないでしょうか?
また、イランでは料理に果物を使うのも普通で、ライムやミカンが付け合わせに出てくるだけでなく、シチューに乾燥レモンが入っていたり「ザクロのシチュー」なんてのもあるくらい。
定番料理から祝い事の料理、地方料理まで挙げればきりがありませんので、今回はイラン旅行中に食べた料理を紹介していきます。
イランの代表的な料理
まずは、イラン全土でよく食べられる代表的な料理から紹介していきます。
ここで紹介する多くの料理は、たいていどこのレストランでも提供されている定番料理なので、イラン旅行の際は忘れずチェックしておきたいところ。
お米とパン
チェロウ|چلو
イラン料理に欠かせないのが「チェロウ|چلو」。お米のことです。
イランのお米は細長くパラパラのインディカ米を使っていて、サフランの生産地ということもあってサフランライスもよく食べられます。
「ゼレシュク(メギの実)」が乗っている場合もよくあります。
個人的には酸味が強く正直お米にはミスマッチな気がします。お店によって乗ってたり乗ってなかったりランダム性が強いので注意。
レストランではお米とお肉がセットになったプレート料理が基本で、「チェロウ○○」というような料理名になっています。
タディーグ|ته دیگ
見た目が鮮やかな「タディーグ|ته دیگ」、この正体はなんと「おこげ」。
日本でおこげといえば軽く鍋の底に出来る程度の認識ですが、イランでは一種の料理として存在しています。
香ばしい香りとカリカリとした食感で、イランでは人気の御馳走とされています。
ナン|نان、ラヴァーシュ|لواش
インドで「ナン|نان」と言えばパンの種類のひとつですが、イランではパン全体のことを示します。
中でも一般的なのが「ラヴァーシュ|لواش」という薄焼きパン。
緩衝材のプチプチのような面白い見た目をしたものが一般的で、これを一口サイズにちぎりキャバーブなど具材を包んで食べます。
肉料理
キャバーブ・クービーデ|کباب کوبیده
「キャバーブ・クービーデ|کباب کوبیده」はイランではもっとも代表的な料理。
「キャバーブ」は焼いた肉料理の全般を指します。特にお米と一緒に提供される「チェロウ・キャバーブ」はイランの国民食。
よく見かけるのがミンチにした肉を串に刺して焼いた「クービーデ」と呼ばれるタイプのもので、どこのレストランでも必ずあるので困ったらとりあえず頼んでいました。
肉の種類は牛、鶏、羊の3種類。
細かくつぶして、トマトとお米と混ぜて一緒に食べるのがイラン流。
キャバーブ・ジュージェ|کباب جوجه
鶏の串焼き「キャバーブ・ジュージェ|کباب جوجه」。
イランではキャバーブ・クービーデと並ぶ代表的な料理。
レモンとタマネギ、クミン、サフランを混ぜたヨーグルトに鶏肉を漬け込み味付けします。作るのも非常に簡単なのでピクニックで行うバーベキューでの定番メニュー。
地方によって味付けに違いがあり、アブヤーネではバターの塗られたものが出てきました。
キャバーブ・ターベイー|کباب تابه ای
「キャバーブ・ターベイー|کباب تابه ای」は、ミンチ肉を薄く伸ばしたハンバーグのような肉料理。
ちょっと変わった作り方で、アルミの皿にミンチ肉を敷きそのまま皿ごと火であぶります。焼いたお肉は切り分けたりそのままの形で出したり、肉汁が溜まったお皿ごと提供していることもあります。
チェロウ・モルグ|چلو مرغ
こちらもイランでは定番の料理「チェロウ・モルグ|چلو مرغ」。
モルグは「チキン」という意味で、その名の通りお米(チェロウ)と一緒に食べるチキンライス。
味付けはシンプルに素材の味を活かしたものからトマトソースで煮込んだものまで様々。調理は蒸し焼きか煮込みで行われ、トロっと簡単にほぐれるチキンはお米との相性が抜群!
個人的におススメの料理です。
シシャリク|شیشلیک
「シシャリク|شیشلیک」という料理は、中央アジアやロシアにもある羊の串焼き肉のことですが、イランではラムチョップのことを指します。
郷土料理ではありませんが、マシュハド近郊の「シャンディーズ」では街を代表する料理として全国に知れ渡り、巡礼者たちもシシャリクを食べるために必ず立ち寄るとされています。
マーヒーチェ| ماهیچه
子羊の骨付きのスネ肉を煮込んだ「マーヒーチェ|ماهیچه」。
じっくり煮込まれ味の染み込んだ肉は臭みもクセもなく非常に濃厚な味わいがします。
スプーンを刺すと簡単にホロホロと崩れ、トロリと滴る脂はお米との相性も抜群。
羊肉なのでそれ相応の値段がしますが、値段相応どころかそれ以上の美味しさがあります。
イラン料理の中では一番好きな料理です。
マーヒー・ポロウ|ماهی پلو
「マーヒーポロウ|ماهی پلو」は直訳すると「魚のピラフ」。
ノウルーズ(イランの新年)の夜に食べる定番料理。
その名の通り魚とお米のシンプルな一皿で、魚はフライしたものかグリルしたものが出てきます。
フライした魚の方が衣にしっかりと味が付いているので美味しいのですが、グリルした方はただ焼いているだけなのであまり味がしません。知り合いのイラン人もグリルしたものは好きではないと言っていました。
ドゥーグ|دوغ
お肉と相性ピッタリ!イランで定番の乳飲料「ドゥーグ|دوغ」。
塩と香草を散らして味付けされたヨーグルト飲料で、甘みは無く強い酸味があるのが特徴。発酵具合によっては炭酸飲料かと思ってしまうほど酸味が強いものもあります。
肉料理との相性が良く、口の中の脂っぽさを流してくれます。
煮込み料理(シチュー)
ゲイメ|قیمه
「ゲイメ|قیمه」はトマトベースの味付けで、イランのシチュー料理の定番です。具材には牛か羊の肉とラッペと呼ばれる黄色い豆、上にはフライドポテトが乗っています。
どこのレストランにもあるお米に合う一品。
地域によって味付けと具材が異なり、郷土料理となっているものも多くあります。
ゴルメ・サブジー|قورمه سبزی
「ゴルメ・サブジー|قورمه سبزی」は、肉とタマネギや豆などの野菜をドロドロになるまで煮込み、大量のハーブで味付けしたシチュー。
ゴルメが「煮込み」で、サブジーが「野菜」という意味。
大量の香草が使われている不思議な味わいは、人によって評価が変わるかもしれません。
フェセンジャーン|فسنجان
「フェセンジャーン|فسنجان」はカットした肉と砕いたクルミ、そしてまさかのザクロのペーストを一緒に煮込んだ料理。
冬至のディナーに食べられる定番メニュー。
ザクロが味付けのベースになっているため、甘みと酸味がありちょっと癖があるので人によって好みが分かれると思います。かぼちゃの煮つけやサツマイモのてんぷらが苦手という人はちょっと遠慮した方がいいかと。
正直に言うと、私もこれはちょっとダメでした。
スープ料理
アーブ・グーシュト|آبگوشت
「アーブ・グーシュト|آبگوشت」は、ディズィーという壺で野菜と肉を煮込んだスープ料理。アーブが「水」でグーシュトが「肉」という意味。
少し面白い食べ方で、専用の器具で具材をつぶしながら混ぜパンをスープに浸して食べます。
混ぜれば混ぜるほど美味しくなるとされ、アーブグーシュトを食べるイラン人は一心不乱にガツガツかき混ぜるのではたから見ると少し怖いです。
スーペ・ジョウ|سوپ جو
数あるイランのスープ料理の中で最もポピュラーなのが「スーペ・ジョウ|سوپ جو」
優しい味わいの大麦スープで、基本的に単体で頼むことはなくサラダなどの付け合わせのように提供されます。
気づいたらそこにいる、イランの食卓になくてはならない存在。
アーシュ・レシュテ|آش رشته
イランの定番スープ料理「アーシュ・レシュテ|آش رشته」。
たっぷりの野菜と豆、ハーブで味付けされたスープでレシュテという麺が入っています。栄養たっぷりで腹持ちが良い断食月の定番料理。
街を歩いたらとてもいい香りがしたので思わず引き寄せられてしまいました。
500gで100円ほどとかなり安い。
ケレ・パーチェ|کله پاچه
「ケレ・パーチェ|کله پاچه」は羊の頭と手足、内臓を煮込んだスープ料理でイラン周辺国でもよく食べられています。内臓も含まれているので臭みもあり結構癖の強い料理です。
直接お皿に乗って出てくることはありませんが、大鍋で羊の頭ごと煮込まれる姿は結構ショッキング。
イラン各地の郷土料理
次はイラン各地の郷土料理の紹介していきます。
郷土料理と一言に行っても、広い国土に複数の民族が暮らしているので、有名どころから家庭料理など挙げればキリがありません。
ここで紹介する料理は、一般的なレストランで提供されているものばかりなので、観光で訪れた際は是非頼んでみてください。
アルダビール/ペイチャーグ・ゲイメ|پیچاق قیمه
アルダビールの郷土料理「ペイチャーグ・ゲイメ|پیچاق قیمه」。
名前から分かる通りアルダビールのご当地版ゲイメで、具材は羊の肉と刻んだアーモンド、卵の黄身が乗っているのが特徴です。
味付けにはアルダビール特産のバターもふんだんに使われて、表面には油の層ができるほど。これにさらにバターライスも付いてくるのでカロリーが爆発状態。
WHOが警鐘を鳴らしそうな高カロリー料理なのでご注意ください。
アルダビール/特産品の乳製品とサラダ
アルダビールは酪農が盛んな地域なので乳製品が美味しいことで有名。レストランのご飯には必ずと言っていいほど大きなバターの塊が付いてきます。
これをご飯に溶かしてお肉や上で紹介したぺイチャーグ・ゲイメと一緒に食べるのがアルダビール流の食べ方。
アルダビール産のヨーグルトは濃厚な味わいなのでこちらも忘れずに頼みましょう。
ちなみにヨーグルトはペルシャ語で「マースト|ماست」といいます。
イランでは料理の付け合わせによくサラダが付いてきますが、緑豊かなアルダビールではよく分からない草がこんもり盛りでやって来ます。
サラダはともかくバターご飯に関してはカロリーが凄いことになっていますので注意。
イスファハーン/ベルヤーニー|بریانی
イスファハーンの最も有名な郷土料理「ベルヤーニー|بریانی」。
イラン人に「イスファハーンの郷土料理は何?」と聞くとこの料理と答えるくらいには有名な料理。
羊の肺や気管といった変わった部位を挽肉にして揚げ、クルミやアーモンドが乗せられています。添えられた生のハーブと一緒にパンに挟んで食べます。
イスファハーンを代表する料理だけあって市内には何店舗も専門店があります。
クルディスターン州/クルディスターン・キャバーブ|کردستان کباب
クルド人が多く住むクルディスターン州の伝統的な「クルディスターン・キャバーブ|کردستان کباب」。
丸く平べったい鉄鍋に乗った状態で提供されてきましたが、正直普通のキャバーブと味はそんなに変わりません。
味はともかく見た目はもの凄く郷土料理という感じがあります。
ケルマーンシャー/ダンデ・キャバーブ|دنده کباب
ケルマーンシャーで最も有名な郷土料理「ダンデ・キャバーブ|دنده کباب」。
ミンチにした羊の肉にタマネギを混ぜて薄く広げ、落ちないように串を指して炭火で豪快に焼き上げた料理。必ず3本ほどのあばら骨が刺さった状態で提供されてきます。
羊の粗いミンチ肉は歯ごたえが強く、「今、肉喰ってんな」という強い実感が湧いてきます。
ケルマーンシャー/ホルシュ・ハラール|خورش حلال
ケルマーンシャーの伝統料理「ホルシュ・ハラール|خورش حلال」。
ゲイメのようなトマトベースのシチューで、刻んだアーモンドと黒豆、乾燥ライムが入っているのが特徴。
普通のゲイメにも味付けに柑橘類が使われていますが、この料理には乾燥ライムの実がそのまま入っています。
ライムの実は食べるとかなり酸っぱいので残しました。
ケルマーン/ボズゴルメ|بزقرمه
ケルマーンの伝統的な料理の「ボズゴルメ|بزقرمه」は、ヤギの肉とタマネギ、ニンニクを形が無くなるまで煮込み香辛料で味付けしたペースト状の料理。
口どけが柔らかなマッシュポテトのような食感で、砕いたクルミとオリーブオイル、オニオンチップがトッピングされナンに挟んで食べます。
何故かラーメンのような味がしたのが印象的でした。
シューシュタル/ゴルメサブジー・シューシュタリー|قورمه سبزی شوشتری
シューシュタルの郷土料理「ゴルメサブジー・シューシュタリー|قورمه سبزی شوشتری」。
普通のゴルメサブジーとの違いは、シューシュタルでしか栽培されていないそら豆に似た伝統的な豆を使用し、フライしたマスが入っているところ。
これ以外にも、シューシュタルは漬物が有名な街でもあるので大量の漬物が付け合わせに付いてきます。
タブリーズ/コフテ・タブリーズ|کوفته تبریز
タブリーズの伝統的なミートボール料理「コフテ・タブリーズ|کوفته تبریز」。
ミートボールと言えば一口サイズのコロッとしたものを想像すると思いますが、タブリーズのものは巨大でソフトボールほどの大きさがあります。
まさかのミートボール(単体)。
挽肉にタマネギ、香味野菜、そしてお米が混ざっているのが変わっているところ。味付けはクミンやターメリックが使われているのでほんのりカレー風味。
見た目のインパクトが凄いので、イラン料理の中では特に印象に残っています。
マシュハド/マシュハドの羊肉料理
定番料理の方でも紹介していますが、マシュハドの羊肉は古くから品質が良いことで有名です。
羊肉料理はマシュハドを訪れた商人や巡礼者たちにとって非常に人気の高い料理なので、マシュハドに訪れたら食べずに帰ることはできません。
クセも臭みも無いので羊肉が苦手な人でも余裕で食べることができると思います。
私もそのクチでした。
マシュハド/シャレ・マシュハディ|شله مشهدی
マシュハドの郷土料理「シャレ・マシュハディ|شله هشهدی」。
野菜と豆、牛肉、シナモン、カルダモンなど香辛料を数時間かけてをひたすら煮込んで混ぜたマシュハドの名物。
イスラム圏の断食月によく食べられる料理に「ハリーム」というのがありますが正にそれです。
最後にピリ辛オイルを垂らすので少し辛め。
ヤズド/ゲイメ・ヤズディ|قيمه يزدى
ヤズドの郷土料理「ゲイメ・ヤズディ|قيمه يزدى」。
普通のゲイメの味付けはトマトベースなのに対して、これはシナモンとターメリックが使われ、具材もラッペ豆ではなくひよこ豆を使用しています。
サラッとしていて食べやすい、素朴な味わいの質素な一品です。
まとめ
この記事で紹介している料理はほんの一部にすぎません。
日本語でイランの定番料理から地方の郷土料理まで紹介しているものはそうはないと思うので、イラン旅行の際は是非参考にしてみてください。