こんにちわ、わらびです。
ラリベラに滞在していた9月末はエチオピア最大の祭り「マスカル」の開催期間。
アムハラ州では紛争中ということもあり例年より規模が小さいようですが、それでも近郊から多くの人が集まり、火を囲み歌って踊って重要な祭事を祝っていました。
自分もアディスアベバへと戻るフライト前にサクっと参加することに。
この記事の情報は2023年9月時点でのものになります。
エチオピアの「マスカル祭」とは?
エチオピアで9月27日(2023年はうるう年で28日開催)に行われる祝祭「マスカル」。
まつ毛につける化粧品や有名なアライグマを連想させる名前をしたこのお祭り。
「マスカル|መስቀል」とはアムハラ語で十字架を意味し、聖ヘレナがゴルゴダの地でキリストを磔にした十字架を発見したことを祝う祭りで、エチオピアでは最大の祝祭となります。
私がラリベラに滞在していた時が丁度このマスカルの日でした。
エチオピア正教では重要な聖地とされるラリベラ。
紛争中のため、陸路での移動は大きく制限されていましたが、それでも多くの信者たちが集まってきました。
マスカル祭の様子(前日)
ラリベラはエチオピア正教では聖地のため、本来であれば多くの信者が集まるのでしょうが生憎紛争中。陸路には厳重な検問が敷かれ陸の孤島と化していました。
聖地でのマスカル祭に参加できるのはラリベラ近郊か、飛行機を使ってこれる信者のみ。
ラリベラでは既に前日から祭りの雰囲気が漂い、正装に身を包んだ人が多く見受けられました。
ある程度のまとまりはあるけどエチオピア正教会の正装か何なのか分からない。
それとも地域によって違いがあるのかな?
一言にエチオピアと言っても多民族国家。それが原因で紛争が起こるくらいだし地域によって服装の違いもあるよね。
よく分からないけど。
おっと、子供たちに見つかってしまいました。
皆一様に「チーナ!チーナ!」と呼んで駆け寄ってきます。
特に金銭を要求してくる訳でもなく、何なら女の子たちは一緒に写真撮影しようとせがんできます。
まあね、悪い気はしないのである。
別に自分は中国人ではないし、彼らがどれだけ嘲られようとも一切気にならない。
中国が好きとか一切思い入れも無いので、どれだけ中国人が侮蔑されようと別段何の感情も湧いてきません。
そもそもこの子らも純粋に楽しんでいるようで邪気も無い。わざわざ日本人と訂正する野暮な真似も必要ない。
彼らの中では中国人と触れ合ったという素敵な思い出ができたに違いありません。
教会に行くと白い外套に身を包んだ大人たちが多く集まり、祭司らしき人が何か唱えていました。
キリスト教のミサや祭事には何度か参加したことがありますが、エチオピア正教では本当に何をやっているのか分からない。
エチオピア正教はキリスト教ではあるものの、新約聖書ではなく旧約聖書のほうが重要視されている。
使われているゲエズ語という言語もヘブライ語と同じセム系言語だし、一日の概念もユダヤ教の考えに近い。
同じ宗教でも地域や言語が違えば色んな宗派ができるよね。
どこへ行っても白い外套に身を包んだ人ばかり。
もともと大して下調べしていなかったのでマスカル祭の存在を知ったのも現地入りしてから。
思わずサプライズ的に貴重な体験ができてしまいました。
町のあちこちでは風船を飾り付けた十字架を模したツリーが準備されています。
お祭り当日はこれが篝火にくべられます。
各地区ごとに準備しているのでしょうか?
寄付を募られたので、ツリーを担いでいた若者に10ETB渡したところ、知らんオッサンがやって来て財布から100ETB奪おうとしてくる。
人から金取ろうとしている時点で強盗でしか無いので、殴り飛ばしたところで一切問題は無い訳なんです。
しかし、優しい自分は軽くどつくだけでおしまい。
我ながら甘すぎるというかなんというか…
こんなことしている時点でこのオッサンの命に大した価値が無いし、紛争で悲惨な最期を遂げればいい。
さておき、
なんとこの日の晩、ホテルのスタッフが特別にマスカル祭のディナーを振舞ってくれました。
紛争中で晩御飯が食べれないのでこれは有り難い。
マスカル祭の間は肉を食べず、ベジタリアンフードがメインになります。
メニューはジャガイモとほうれん草の炒め物、タマネギとニンニク、豆をベルベレというスパイスと一緒に煮込んだエチオピア料理の「シロ」。
私は大きく筋肉質な体に似合わず菜食メインの食生活なのでこれは本当に嬉しい。
特にシャキシャキとした食感が残るほうれん草、シンプルな塩味で素材の旨みを活かしに活かしています。
ほうれん草が大好きということもあって、美味い美味いと言いながら食べていたら沢山おかわりを下さいました。
ラリベラでは偽ガイドやプチ強盗のオッサン、インターネットの使えない不便な生活など嫌なことが何回もありました。
一方で、バーの人がパスタを作ってくれたり、このような素敵な晩御飯を頂いたりと良いことも。
仮に嫌な目に何十回遭ったとして、少なくても美しい思い出を大切にしていきたいものですな。
マスカル祭の様子(当日)
マスカル祭当日。
この日アディスアベバへと戻る予定ですが、フライトの時間まで余裕があったのでお祭りに参加してみることに。
広場ではラリベラの総人口を超えんばかりの人が集まっていました。
まあ何人いるか全然分かんないんですけどね。
私の地元も普段はゴーストタウンばりに人がいないというのに、ねぶた祭りの時だけはこんな感じで賑わいます。
岩窟教会群の方も大いに賑わっているようですが、チケットを忘れてしまったので中に入れませんでした。
うーむ、これは痛恨の極み。
マスカル祭ではみんなが輪になって歌って踊る。
紛争によって人の行き来が制限され、活気のなかった数日前までとはまるで違う盛り上がり。
異邦人なので目立ちますが意を決して群衆の中へ。
天高く聳える十字架を模したツリー。
その下では轟々と燃え盛る篝火。
これその内燃え朽ちて倒れてくると思うんだけど危なくないのかな?
ラリベラはこの程度で済んでいますが、首都アディスアベバで行われるマスカル祭はさらに規模が大きく焼死事故も起きるほど。
ちょっとした災害。
ツリーの下では何人もの人が篝火に近付き火元から何かを拾っています。
中で焼き芋でも作っているのかと思いきや、薪の燃えカスで額に十字マークを付けるためのものでした。
エチオピアチルドレンにそそのかされ自分も額に十字を描くべく燃えカスを拾いに…
行きたいのですが、熱い!
あまりにも熱すぎて火に近付けない。
そんなに火の勢いは強くないし、屈強かつ様々な痛みを経験してきた自分であれば余裕とタカをくくっていました。
そうです。火とは元来怖いものなのです。
火を使うだけであれば人間以外にもいくつかの生物が存在します。
しかし、火を起こすとなると話は別。あらゆる生物の中で人間だけなのです。
その利便性ゆえに、あまりに生活に身近なものになり過ぎて忘れていました。
皆さんも火の怖さを忘れてはいませんか?
火の怖さを再認識したところで意を決してもう一度。
熱い!熱い!
と叫びながら火に飛び込み燃えかすを拾い上げる。
手に取った灰も普通に熱くて軽く火傷を負いました。
日本語の分からない周囲の人からすれば、奇妙な叫びを上げて火に飛び込むアジア人の姿がそこにはあったのでしょう。
軟弱な自分にふがいなさを覚えつつ、されど周りの人たちはみんな笑っていたのでヨシ。
自分一人火に巻かれただけで周囲の人が笑顔になるというのなら悪い気はしません。
持ってきた炭で額に適当に十字を描いて自分のマスカル祭はお終い。
後で確認したところ全然十字になっておらず、額に灰色の炭が付いてるだけの小汚い顔になっていました。
そんな小汚い顔のまま飛行機に乗ったというのだからこれは恥ずかしい。
おわり
白い装束に身を包んだ人たちが燃え盛る火の回りで歌い踊るマスカル祭。
エチオピア全土で大きな盛り上がりを見せ、紛争中のラリベラでも大いに賑わっていました。
図らずともその場の雰囲気で参加してきましたが、軽い火傷を負い火の怖さを実感した一日となりました。
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