「プレ・ループ」と「東メボン」、二つの兄弟寺院を見比べてみよう!

こんばんわ。わらびです。

今回紹介するのは、アンコール遺跡群の中でも、ちょっと地味だけど面白い2つの寺院。「プレ・ループ」と「東メボン」です。

どちらもアンコール・ワットよりも古く、10世紀にラージェンドラヴァルマン2世によって建設された寺院。

この2つの寺院は、同じ王の時代につくられ、構造もそっくりといういわば「兄弟寺院」のような存在。

それぞれ単体の寺院としてではなく、二つの関係性を知ったうえで観光するとより面白くなること間違いなし!

……なのかな?

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プレ・ループ寺院とは

「プレ・ループ」は、961年にラージェンドラヴァルマン2世によって建設されたヒンドゥー教寺院。

シヴァ神を祀る国家寺院として建設されたと考えられており、当時のクメール王朝にとって重要な寺院でした。

特徴は、なんといってもこの巨大なピラミッド状の建物。

言うほどピラミッドかと言われると実際そこまでなんですけど、下から上へと基壇が積み重なり、その頂上にはレンガ造りの祠堂が並んでいます。

遠くから見ると、まるで巨大なレンガの山。しかし近づいてみると、そこには細かな彫刻やデバター、神々を描いた装飾が残されています。

プレ・ループは火葬場だった?

プレ・ループには一つ気になるものがあります。

それが、「火葬との関係」です。

プレ・ループという名前には、クメール語で「身体を回す」といった意味があり、これが古くから火葬儀礼との関係を考えるきっかけになってきました。

遺灰を流したと推測される排水溝

実際、遺跡の中には、火葬に使ったのではないかと思わせるような石造物も残っています。

ただし、ここはちょっと注意。

プレ・ループが火葬場として建設されたことを示す決定的な証拠があるわけではありません。

名前や遺跡に残る構造から、火葬との関係が推測されているという段階。つまり、「プレ・ループ=昔の火葬場」と断定するのは少し危険。

人に自慢げに話して、後々別の事実が判明した暁には赤っ恥間違いなし。

遺跡の見どころ

火葬の祭壇

中央祠堂へ向かう途中に置かれている、大きな石槽。

これがプレ・ループを火葬と関係する寺院と考えるきっかけのひとつになったものです。

昔から、ここで死者を荼毘に付す儀式が行われたと伝えられてきました。

ただし、先ほども説明したように、この石槽が本当に火葬に使われていたのかははっきりしていません。

現在では、シヴァ神の乗り物であるナンディの像を置くための台座だったという説もあります。

こちらは遺跡の一角にある、排水溝のような場所。

これも火葬に関連して、荼毘に付された死者の遺灰などを流した場所だと説明されることがあります。

ただ、こちらについても、実際にその目的で使われていたという確実な証拠があるわけではありません。

アンコール遺跡は謎だらけ。

こうして見てみると、プレ・ループは建築そのものだけでなく、用途についても謎の多い寺院です。

夕陽の名所

プレ・ループは夕方に訪れる人も多い遺跡です。

理由は単純。

プレ・ループの最上段からの眺めはとても良く、赤いレンガと夕方の太陽の相性が抜群だから。

日が傾いてくると、建物の赤茶色がより強調され、昼間とは違った雰囲気になります。

ただし、夕日スポットとして有名だからといって、必ずしも毎回きれいな夕日が見られるとは限りません。天気次第です。また、シェムリアップからは少し離れているので、夕陽を見終わったら速やかに帰りましょう。

雨季には地平線に雲がかかり、夕陽を見れる確率は低い。スコールも降る可能性もあるので雨季はわ僅かな可能性に期待せず夕陽はスルーした方が無難。

クメール王朝最後のレンガ造り寺院

プレ・ループの見どころのひとつが、レンガ造りの祠堂です。

アンコール遺跡というと、アンコール・ワットのような巨大な砂岩建築を想像する人も多いと思います。

でも、10世紀ごろのアンコールでは、レンガを使った寺院も数多く造られ、プレ・ループはその代表格。

基壇部分は砂岩で作られていますが、頂上の祠堂は赤茶色のレンガで作られています。

また、プレ・ループの建立を境に、クメール建築の建築様式は砂岩様式へと変化していったため、この寺院がクメール王朝最後のレンガ式寺院ともされています。

東メボン遺跡とは

続いて紹介するのは、プレ・ループとよく似た構造を持つ「東メボン」。

東メボンは、952年にラージェンドラヴァルマン2世によって建立されたヒンドゥー教寺院です。

プレ・ループよりも9年ほど早く完成しており、こちらもシヴァ神を祀る寺院として建設されました。

東メボンの最大の特徴は、かつて巨大な貯水池だった東バライの中央に建てられていたこと。

「メボン」とは巨大な貯水池「バライ」の中心に作られた寺院のこと。東バライは東西約7km、南北約1.8kmにも及ぶ。

現在は水がなく、寺院は陸地に囲まれていますが、建設当時は周囲を水に囲まれた島の上に建っていました。

つまり、かつては船などで渡らなければ訪れることのできない寺院だったわけです。

現在では普通に陸路でアクセスできるため、当時の姿を想像するのは少し難しいかもしれません。

それでも、かつて水に浸かっていた一段目の基壇部分は変色した後が残っています。

東メボンの見どころ

東メボンを訪れて、まず注目したいのが、寺院の四隅に配置された象の石像です。

象は古代インドの神話やヒンドゥー教において重要な存在であり、王権や神聖さとも深く結びついていました。

東メボンの象も、単なる装飾というだけではなく、寺院の神聖な空間を演出する役割を担っていたと考えられます。

長い年月を経て一部が風化しているものの、象の姿は今でも比較的はっきりと残っています。

レンガ造りの祠堂

東メボンもプレ・ループと同じく、レンガ造りの祠堂が特徴的な寺院です。中央の基壇には複数の祠堂が配置され、中央部にはひときわ大きな祠堂が建っています。

特に注目したいのが、レンガの表面に残る装飾です。

かつては神々を描いた彫刻や漆喰による装飾が施されていたと考えられており、現在でもその一部を確認できます。

レンガに空けられた小さな穴の数々は、漆喰が付着しやすくするために空けられたとされています。

プレ・ループと見比べてみると、レンガを主体とした建築や、複数の基壇を重ねた構造など、共通点が多いことがわかります。

基壇の頂上部の祠堂も似た構造。

まとめ

今回は、アンコール遺跡群の中でも、比較的古い歴史を持つプレ・ループと東メボンを紹介しました。

どちらも同じ王によって建設され、レンガ造りの祠堂や多層構造の基壇など、共通する特徴を持っています。

一方で、火葬との関係が推測されるプレ・ループや、かつて巨大な貯水池の中央にあった東メボンなど、それぞれ異なる見どころがあります。

アンコール・ワットやバイヨンのような知名度はありませんが、10世紀のクメール建築を知るうえでは、どちらも興味深い遺跡。

両遺跡の関係性を知った上で観光すると面白さが倍増すること間違いないでしょう。

…おそらく。

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