こんにちわ、わらびです。
スペイン巡礼の終わりの地サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂。
聖ヤコブの墓所の上に建てられた大聖堂では、毎日巡礼者を祝福するミサが行われています。
25kgのバックパックを背負い、酒を飲みながら歩き、山を駆けたりしてきたりランニングしたり…、巡礼では前代未聞のぶっ飛んだことをしてきた私も一般人に混じって参加してきました。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂
キリストの弟子で12使徒の一人「聖ヤコブ(サンティアゴ)」の墓所の上に建てられた聖地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂」。
サンティアゴ・デ・コンポステーラはバチカン市国、エルサレムと並ぶキリスト教の三大聖地で巡礼者以外にも多くの観光客が集まる場所です。
ヨーロッパ各地から伸びるすべての巡礼路の終着点がココ。
巡礼証明書を発行し、宿に荷物を置いてから手ぶらで戻ってきましたが、荷物を置いていてしまった故に大切なものまで忘れてしまったのはまた別の話。
聖地の由来
ユダヤ教に迫害され斬首されたヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)は、十二使徒では最初の殉教者となりました。
処刑後、キリストと同じくヤコブが復活するのを恐れたユダヤ人は、その地に遺骸を埋葬することを許しませんでした。
ヤコブの遺体は、弟子たちがこっそり運び出し小舟に乗せて、風に行く先を任せた結果ガリシアのパドロン流れ着きました。その地にヤコブの遺骸は埋葬されましたが、時の流れとともに忘れ去られ墓の場所は行方が分からなくなりました。
813年、星に導かれた羊飼いが聖ヤコブの墓が発見したことがきっかけで、その場所にアルフォンソ2世が教会を建て、「カンポ|野原」と「ステーラ|星」を合わせた意味の「コンポステーラ」という地名が付けられたと言われています。
聖地となったサンティアゴ・デ・コンポステーラには巡礼者が集まり、12世紀には年間50万人もの巡礼者が歩いたとされています。
その過程でヨーロッパ各地からサンティアゴまでの巡礼路が整備され、一番遠くはコンスタンティノプール(イスタンブール)からの巡礼路が作られました。
大聖堂への入り口はふたつ
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂には大きく分けて2つの見どころがあります。
- ミサが行われる大聖堂の身廊
- 地下にある聖ヤコブの墓所
それぞれ入り口が違い、時期と時間帯によっては入場するのに数時間かかることがあります。
巡礼者が多く集まる7,8月の午後は数千人の行列ができるので、この時期に訪れる場合はなるべく午前中に訪れるようにしましょう。
ミサが行われる時間は毎日12:00~13:00まで。
大聖堂のミサ
大聖堂のミサに訪れたのは、実はサンティアゴ・デ・コンポステーラについて2日目のこと。
初日は、到着してから巡礼証明書の発行をし、それから大聖堂に入ろうとしたらとんでもない行列で断念。
夏のサンティアゴデコンポステーラ大聖堂の行列はとんでもねーんです。
日を改めてやって来た大聖堂。
そこそこ長い行列に並び、なんとか午前のミサの時間に間に合いました。
これから神父がやってっ来るであろう聖ヤコブ像の上ぶら下がっているのは巨大な香炉。
ヤコブ祭の時になると香炉が勢いよく振られ周囲に煙をまき散らします。
それ以外だと、多額の寄付金をした団体がいる場合などに行うそうです。
…やっぱり金なのか。
聖ヤコブの墓所を通る北入り口からのルートではこの像の裏側を通ります。
巡礼者を祝福するミサでは、その日到着した巡礼者の名前が読み上げられるのですが、自分が到着したのは前日なので呼ばれることはありませんでした。
そもそも夏のハイシーズンはとんでもない行列ができるので、自分の名前が呼ばれるミサに参加できる人は多分稀。
ル・ピュイ・アン・ヴレからサンティアゴ・デ・コンポステーラまで1500km。しかも25kgの大荷物を背負っての巡礼。
少なくとも自分のやったことは普通の人間には絶対不可能な事。
私が初めてという訳ではないけど、今まで何人の人間が成し遂げたか分からないというレベルの出来事。
行く先々で担いでいる荷物の多さに驚愕されてきましたが、後半あたりで覚えた肩の痛みを除けば基本的に運動不足気味。
常人からすると完全な化け物だけど、当人からすると全然大したことは無く、むしろ達成感など何も無い。
普通の人間からすると、軽い荷物を背負って数百キロ歩くだけでもとんでもない負担で、歩ききれるか分からないそうです。
サンティアゴデコンポステーラで感動のフィナーレを迎え涙を流すというのがありがちな事らしいですが、自分からするとその感覚はまるで分からない。
巡礼中は、ただひたすら普通の人間との感覚の違いを感じたばかり。
ずっと前からそうでしたが、本当に普通から大きくかけ離れた人間なんだなと実感。
本当にどうでもい事ばかり考えて巡礼者を祝福するミサは終了。
午後の入場は注意
ミサが行われる身廊への入り口は、正午を過ぎるととてつもない行列ができます。
特にハイシーズンの7,8月は人が多く、どのくらいの行列になるかというと…
辿ってみましたが、正直どれくらい長いのか分からない。聖堂の入り口から旧市街の路地にまで続く数百メートルもの行列ができます。
ハイシーズンの7,8月は入場までは数時間待ちというのが当たり前なので、出来るだけ午前中に訪れるようにしましょう。
聖ヤコブの墓
聖ヤコブの墓所への入り口は、聖堂の北側になります。
バックパックなど大きな荷物は持ち込みは出来ませんが、入場者には巡礼者が多いため、入り口のセキュリティチェック付近に置いていく人が多数います。
なし崩し的にそうなっているだけなので、入場する場合はちゃんと宿に荷物を置いてきましょう。
ちょっと行列が長いですが、進むのが早いのでせいぜい30分程度。
身廊とは鉄格子で区切られたエリアを通って墓所に向かいます。
主祭壇の真下、ここには聖ヤコブとここに遺体を運び込んできた弟子たちの墓所があります。
地下への入り口にはゴーサインを表す緑のランプ。世にも珍しい信号付きの墓所がここにはあるのです。
ラテン語で「聖ヤコブの墓」と書かれています。
観光客でごった返す地下道
その中ほどに鉄格子があり、その向こうには、
銀の棺。
これが聖ヤコブのお墓になります。
ここが、この地を聖地たらしめる理由。
キリスト教の創始者のお墓がここにはあります。
意外と知られていませんが、イエス・キリストはユダヤ教の改革者で、あくまでもユダヤ教徒として生きユダヤ教徒として処刑されました。
後に、イエスの弟子たちによって広められた教えによって作られたのがキリスト教。
世界一信者の多い宗教の創始者の眠る場所、そう考えると普通に凄い場所。
巡礼の終着地サンティアゴ・デ・コンポステーラで最も重要な聖ヤコブの墓所。
お墓には近づけないものの、内部には手紙やらコインなど多くの物が投げ込まれています。
大切なものを忘れてしまう
聖ヤコブの墓所を前にポケットをまさぐり
あっ、やべ…
ル・ピュイから出発する日の朝、大聖堂でミサが終わったあとに巡礼に出ることのできない人が書いた手紙を預かって来たのですが、うっかり宿に忘れてしまいました。
バックパックに入れたままでしたが、大聖堂には大きな荷物を持ち込めないので宿に置いてきてしまったんですよね…
済まない、手紙の主よ…
せっかく大聖堂に届けてあげようと思っていたのにうっかり忘れてしまうなんて、悔恨の念に苛まれるばかりである。
本当に申し訳ない。
…本当にごめん。
いやマジで、超ごめん。
ずっと大聖堂に届けようと思っていたんですけど、これは本当になんと言い訳して良いのか分からない。
どうやら酒で頭がやられてしまったようです。
手紙を忘れてしまった悔恨の念を噛みしめながら地下墓所を抜けると、聖ヤコブ像の鎮座する主祭壇の裏側へと続く階段に向かいます。
祭壇内では写真の撮影が禁止されているので画像は無し。
ここの裏側を通ってきました。
コロナ以前は聖ヤコブ像に口づけをするのが習慣化していましたが、現在は禁止されています。肩に手をかけるのがニュースタンダードとなっていますのでお気を付けください。
仮に禁止されていなくても、誰が口を付けたか分からない物には口づけなんてしたくない。
このヤコブ像の裏を通るとこのルートは終わり。
おわり
多くの巡礼者はこのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂のミサをもって巡礼を終えますが、自分の巡礼はフィステーラまでもうちょっとだけ続きます。
大聖堂のミサは、夏のハイシーズンはとんでもない行列になるので、できるだけ午前中に到着するようにしましょう。