こんにちわ、わらびです。
世界の半分イスファハーン。サファヴィー朝最盛期に首都が置かれた場所で多くの職人たちもここに移り住んだイランの伝統工芸の本場でもあるんです。
今回はイランの芸術の粋が集う伝統工芸の本場で出会った「カラムカール」の工房見学について。
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イランの伝統工芸「カラムカール」
グランドバザール観光中、ハータムカーリーを購入し少しぼったくりに会い意気消沈気味で歩いていると、次なるイスファハーンの伝統工芸「カラムカール」に出会う。
今でこそ、外国人観光客向けに「ブロックプリント」や日本語訳に直した「更紗織り」と呼ばれているが、これは他でもないイランの伝統工芸「カラムカール」。
カラムカールは、木で作った型を複数個使いスタンプを押す要領でコットンの布に美しい模様を作るイスファハーンの伝統工芸品。「カラム」が筆、ペン、「カール」が仕事、作品という意味で、「筆仕事」や「ペンワーク」となる。Google翻訳にかけると「習字」となるけどガッツリ間違いなので注意。
値段も手ごろ、何より薄いので嵩張らないというのが手を出しやすい。
タオルケットくらいのサイズでも20ドルと非常に安い。これに限らずイランの伝統工芸は非常に安いのですが、嵩張らないゆえにバックパックのわずかな隙間にも入るし、無理に押し込んでも特に問題ない。
つまりこれは買うしかない。
安いし。
なので買うことにした。
上の画像右側の商品
赤、青、黄色、3種類のスタンプを使って作られたもので、値段は3ドル。
ちょうど鍋敷きくらいのサイズ。
全く使い道は浮かばないけど安いので思わず買ってしまった。
ちなみに、カラムカールの使い道は主にテーブルクロス。レストランではガラス板の下に敷かれていたりする。
購入すると青いインクで裏に工房独自のスタンプを押して品質とかブランドみたいのを証明してくれます。
そして、ここの店員から「よかったら工房見てく?」
と誘われたので、もうこれは行くしかありません。
さっきカラムカールを買ったとき軽くぼったくられて、さらには高額なダンスパーティーに誘われるなど、イマーム広場周辺には悪いイラン人がたくさんいるというのが身に染みて分かっているけど、ここはあえてホイホイついて行く。
店員についていくことわずか数分、バザールを出て工房が並ぶ通りを歩き到着。
「カラムカール・アフワーン・ファフフーリー」。実は日本人観光客が良く来る結構有名なお店らしい。
ここ以外にももう一カ所カラムカールの工房に立ち寄ったのだが、何故かそこにも多くの日本人観光客が訪れているご様子。
日本語で案内が書かれている。
昔日本人の記者か何かがやってきて、カラムカールのこと本に書いて紹介したらしく、それ故に日本人が多く来るようになったらしい。日本人の場合は工房内に案内してくれているのか、見学ノートには多くの日本人の感想が書き込まれていました。
よくわかんないけど。
このブロックプリント、ペルシャ語では「カラムカール」か「カラムカーリー」のどちらかになっているけども、少なくともこの工房では「カラムカール」のほうを採用している。
多分ほとんどの人が認識できない違い。
知識を持つ者の特権である。
工房の中は雑多に詰まれた布がたくさん。職人さんたちがカラムカール作りに勤しんでおりました。
見る限りは基本的には大きな作品は工房で、小さなものは販売店舗で作っているみたいです。
見学客には慣れているのか、特に気にする素振りもない。
よく観光客が来るためでしょう…、
しかしね、今この場にやって来た見慣れたであろう邦人男性は、なんと!
ペルシャ語できるんですよ。
と、心の中で変な優越感に浸る。
後でペルシャ語で話しかけ驚かせてやるとして工房見学へ。
これほど大きなものだとさぞ高いと思われるが、意外や意外これでも30ドルほど。無論、大きくなればなるほど値段は上がりますけどそれでもこんなデカいのが30ドル。
全然手が出る値段なので思わず買ってしまいそうになるけどこれほどのサイズともなるとメチャクチャ嵩張る。ジーンズ2着分くらいになる。
買えない。
とりあえずお茶を頂きながら職人さんたちの仕事見学。
人間よりも大きなクロス、複雑でさぞ作るのが大変そうでしょうが、使っている型はそこまで多くない。同じ型を何度も少しずつずらして美しい模様を作り出す。
地道で繊細な作業。
カラムカールの染料。
工房の棚には大量の型。
一つの型につき使う色は一個まで、模様の密度と色が多くなるほど技術も必要になるので値段も高くなります。
このような細かい模様が彫られた木の型を何個も組み合わせ模様を作っていきます。
ところで皆さん、押し印を押したけどインクが薄くてもう一度押した経験があるかと思います?
もう一度同じ個所に押すためハンコを斜めにしてから、しっかり確認して押すけど、でもあれって大抵うまくいきませんよね?
このカラムカールの職人たちは、要はそれをもっと正確にやる技術を持った方々なんです。
広大なコットンのキャンパスに次々と色と模様が刷り込まれる。
スタンプを合わせる時は慎重に、押し付ける時は「ドンッ!」と思いのほか強く押し付ける。
これはまさに、繊細さと力強さの合わせ技。
しかも…、というか当然彼らは職人なのでそれを手早く済ませていく。
ササッ、スッ、ドンッ!ササッ、スッ、ドンッ!
と工房内に響き渡る。
愛しさと切なさと力強さと、
みたいなそんな感じ。
つまりは、優しくスピーディーな暴力である。
地道に何度も少しずつずらしながら、色ごとにスタンプを変えていく。
非常に地道で精密な作業、何だか感動したので新しく別のカラムカールも購入させていただきました。小さいやつですが。
購入したお土産たちは未だバックパックの一番底で圧縮されて眠っています。
取り出すのが面倒なので画像はありません。
以上。
皆さんもイスファハーンのグランドバザールに訪れた際は是非。
感想ノートにはペルシャ語で「これは非常に美しいイスファハーン本来の芸術」と書き込んできたので探してみてください。
ホダーハーフェズ!