こんにちわ、わらびです。
ル・ピュイの道を27日かけて歩き到着したサン・ジャン・ピエ・ド・ポー
この街から巡礼路は「フランス人の道」と名前が変わり、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで続きます。
そしてフランス人の道の初日には、最大の難所とされる「ピレネー山脈越え」が待ち受けています。
もくじ
フランス人の道最大の難所「ピレネー越え」
フランスとスペインの国境、イベリア半島に進出してきたイスラム勢力のフランス進出を阻んだピレネー山脈。
サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから始まる巡礼路「フランス人の道」では最大の難所とも言われ、初日にこの山脈を越えてスペイン側へと入ります。
かつてナポレオンがスペインに進行する際に通った道でもあるので「ナポレオンルート」とも呼ばれています。
街を出ると緩やかな坂が始まり、そこからピークの標高1500mほどまでは20kmほどの登りが続きます。
ピークを越えると今度は、疲労が蓄積した足には辛い急な下り坂。
終わりが無いかとも思えるほどに長い緩やかな登りと急転直下の下りを経て、山脈の向こうにあるロンセスバリェスまで25km歩きます。
山脈越えの荷物
さあ、これからピレネー山脈へと赴く訳なんですが、その前に見てほしいこの荷物を。
大きいバックパックと普通のサイズのバックパック。
水や食料、茶葉、衣類、巡礼に関係ないもの多数で総重量は25kg。これを前後にかけて歩きます。
ル・ピュイの道ではこれで歩き、「何かヤバい荷物持った奴がいる」という風に、ちょっとした有名人になっていたみたいです。
もし私が一般的なヒョロガリアジア人であれば、周りの人たちもそんな無謀な挑戦を止めるのでしょうが、一目で鍛えていると分かるくらい屈強な体格。
誰からも心配されること無く、フランス人の道初日ピレネー山脈越えが始まるのでした。
フランス人の道最大の難所?
フランス人の道では、約20kmの登り坂が続くピレネー山脈越えが巡礼路の初日に当たるので、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから歩き始める人にとっては確かに辛いそうです。
フランス人の道自体は、全体的に平坦で歩きやすい所ばかり。
難所と言えど基本的に緩やかな坂が続くだけでそこまで心配するような難易度はありません。
ル・ピュイの道を歩いてきた巡礼者にとっては難所どころか、綺麗な景色が続く名所。
むしろ、ル・ピュイの道では1日に何度も山を越えることがあり道もまともに整備されていない。個人的にはそっちの方が辛かった。
山脈越えの様子
巡礼28日目。
フランス人の道は初日。
朝の紅茶を飲もうとしたら沸かしたお湯を横取りされてちょっとイラっとするところから1日が始まります。
巡礼宿が用意した無料の朝食を食べ朝7時半、とうとう出発です。
私は自称「坂道の怪物」なので、別段急がなくともこんな山脈程度5時間程度で越えてしまいますが、まあね、やることが無いのでちょっと早めに出ようかなと…
……
…嘘である。
さすがにこんな大荷物抱えての山脈越えは心配なので早めに出ておこうという魂胆。
歩き始めてすぐにサン・ジャンド・ピエ・ド・ポーの街を出て緩やかな登りが始まります。
これから越えるピレネー山脈はまだ霧の中。
立ち込める霧の中徐々に高度を上げる。
ピエ・ド・ポーの街を出て1時間半くらいのところにある「ユント|Huntto」という村。
ここら辺の登りが初日では最も斜度がきつい場所。
フランス人の道からは巡礼専用アプリ「Buen Camino」が使用可能になり、斜度や自分の位置、次の村までの距離なども分かるようになる。
巡礼路では急な坂に差し掛かるとこのように大渋滞が起きます。
普通の人からするとかなりの傾斜で登るのも一苦労。
私からすれば平地とさして変わらない速度で登れるので、ちんたら歩いてないで道を開けてほしい。追い越せない。
フランス人の道は、スペイン巡礼の中では最も人が多いルートで、巡礼者たちが道いっぱいに広がって歩いたりと結構マナーが悪い。
坂を登り終わったところでは巡礼者を応援する地元のボランティアらしき人が二人。
応援と言っても何か差し入れをする訳ではなく、文字通り声をかけて応援する人たち。
普通の人のペースに合わせ歩いてきたせいか逆に疲れる。
水飲み場があったので汗だくになったシャツを洗い水分補給。もはや屋外にある水道だろうが普通に飲めるようになってしまった。
非常に濃い霧。
霧というよりは多分山にかかる雲の中。本格的に山という感じが出てきました。
午前10時、出発から2時間半経った頃気温も上がり雲も晴れてくる。
レストランに到着。
今日歩くルートはほとんどが山の中。ここから先に休憩スポットはなどは無いので、巡礼者にとって最後のオアシス。
一方私は休憩も食料も必要無いので水だけペットボトルに補充して先へ。
いよいよ雲も晴れピレネー山脈がその姿を現しました。
ここからは絶景の連続かな?
あとは緩やかな登りだけで、荷物が多くてどうなるか心配だったのが嘘のように期待が高まる。
ピレネー山脈の絶景
雲が晴れてその姿を現したピレネー山脈は、わざわざ一眼カメラを取り出してまで写真を撮るほどの美しい景色の連続でした。
緑の豊かな山の中に通る1本の道。
何人もの巡礼者がそこを歩いて行きます。
かつてナポレオン率いるフランス軍もこの景色を眺めながらスペインへと至ったのでしょうか?
ひたすら何キロも風光明媚な光景が続く。
フランス人の道最大の難所といわれるピレネー山脈。
私は体力があるので景色を楽しむ余裕もあるけど、他の人たちはそうもいかない様子。
山の中で巡礼者相手に商売をするキッチンカー。値段は当然高い。
休憩しているのは今日から歩き始めた巡礼者でしょう、多少高くても食べ物を買って体力補給。
まだ距離は半分ほど残っていますが、もはや皆疲れの表情が見えていました。
(…フン、素人どもが頑張れよ)
と、心の中で軽い侮蔑と声援を送り先へ。
山脈の向こう、ロンセスバリェスには舗装路を外れ未舗装路を歩いて向かいます。
あと少し、あの丘を越えたら国境を越えてスペインに入ります。
国境を越えてスペインへ
丘を越えてしばらく歩くと…
水飲み場発見!
こんな山中にある水飲み場なんて怖くて普段であれば飲めませんが、他の巡礼者たちもぐびぐび飲んでいたので私も従うことに。
きっときれいな雪解け水かなんかでしょう。知らんけど。
山の湧水なので冷たくて美味しい。
水飲み場を後にし、歩いているとナバラ州を示す標識。
ありゃ?知らず知らずのうちにスペインに入っていました。
ここに至るまで国境らしきものは無し。
あったけど見逃したのかそもそも無いのか。
いったん戻ってみようかなとも思いましたが、巡礼路を逆走する変な奴だと思われそうなのでやめときました。
あまり実感はないけどスペインに到着。
山小屋付近で休憩する巡礼者たち。
皆さん草の上に直で座って寝転んだりしていますけど、そうするとダニとか付いちゃうんで…ね?
その人だけが被害を被るのはいいけど、服やカバンに付けて宿に持ってきちゃうので止めて欲しいものであります。
おかげで巡礼宿はダニだらけ、自分も何ヵ所も刺されてしまいました。
ピレネーの最高到達点
スペインに入ってしばらく歩くと、こちら。
別に山脈で一番高い場所ではないけど、この日歩いたピレネー山脈内のルートでは一番高い最高到達点になります。
せっかく一番高い場所にやって来たので、ここでお昼ご飯を食べましょう。
メニューはいつもと変わり映えの無いバゲットと白カビサラミ、そしてやっぱりマスタード!
スペインに入ると安い物も変わってくるのでこのメニューは今日限り。
スペインではどんな美味しいものが待ち受けているのだろうか?
楽しみでしょうがない。
朝の心配とは裏腹に、歩いてみると全然大したことが無かったピレネー山脈越えもあと少し。
本日最後の難所、急転直下の下り坂。
長い登りを歩き終え疲れの溜まった足には大分キツイものがあります。
さすがの自分もこれはちょっと…
と思うほどの急な下り坂、他の巡礼者を見ててもあわやという、見てて冷や冷やする場面も。
下りが終わると「ロンセスヴァリェス|Roncesvalles」に到着。
初日はここにある修道院の巡礼宿に泊まるのが一般的なようです。
しかし、草むらで寝っ転がってダニを連れてくる巡礼者がたくさんいそうなのでここは遠慮。
次の村へと行くことに。
ロンセスヴァリェスから6kmほど歩いてふたつ先の村「エスピナル|Espinal」に到着。
サン・ジャンド・ピエ・ド・ポーからピレネー山脈を越え、ロンセスヴァリェスから更に6km先の村へと歩いてきましたが、疲れらしい疲れは特になし。
今日はここから、山脈を越えた後とは思えないほどヤバい行動に出ます。
移動距離
サン・ジャンド・ピエ・ド・ポー→エスピナル:30.7km+8km?
総移動距離:780.4km
巡礼宿情報
宿情報 | |
名前 | Irugoienea |
住所 | Oihanilun 2, 31694 Aurizberri/Espinal, スペイン |
料金 | ドミトリー、15ユーロ |
設備 | WiFi、自炊可能なキッチン |
人間辞めました
時刻は午後4時。
まだまだ暑いスペインのバスク地方エスピナル近郊。そこには巡礼路をランニングしながら逆走する男の姿があった。
そう私である。
当然こんなことことをしているのには理由がある。理由もなくこんなことをしていたら異常者だ。
仮に理由があっても、大荷物抱えて山脈超えた後にこんなことしている時点で異常。
この日はブルグエテという村に泊まる予定でしたが、泊まりたかった宿泊施設が臨時休業。
この村にはスーパーマーケットがありここで食料を調達する予定でもありました。
次のエスピナルに向かう前にスーパーに寄ってみたものの午後のオープン時間が4時半から。再オープンまで1時間以上あったので一旦エスピナルまで行き、そこで宿に荷物を降ろしてランニングがてら戻ってくることにしたのです。
往復8kmを…
歩いて戻ればいいと思うかもしれないが、ピレネー越えが思いのほか余裕で終わり拍子抜けだったので、こうして負荷をかけることにしたのだ。
肉体は健康そのものだが、おそらく頭がぶっ壊れています。
どうも壊れた男です。
~A broken man runs~
前代未聞、大荷物を抱えて山脈を越えた後のランニング、意外と余裕でした。
エスピナルを放たれた矢の如く飛び出して30分もせず、さすがに走るとあっという間に着きます。
本日2度目のブルグエテです。
再オープンしたスーパーを物色し気付く、
…スペインはフランスより物価が安い!
これは酒の量が増えそうな予感。
また同じ道を通りエスピナルへと戻る。何だか物悲しい…
無論、帰り道は荷物があったので走りませんでした。
今日は山脈も越え、更にはランニングもしたのでお腹が減っています。
どう考えてもマッチポンプなのだがそんなの関係なし。
まずはズッキーニのステーキから作っていくぜ!
ズッキーニを4分の1に切り分け、こんな感じで切り込みを入れそこに軽く塩を塗り込みます。
オリーブオイルでニンニクを熱し香り付けをしたら軽く塩を振り、
ズッキーニを投入。
まずは皮の面に焦げ目をつけて、裏返したらしばらく熱します。
ほどよく焼いたらブラックペッパーをまぶしてズッキーニステーキの出来上がり。
オリーブオイルとニンニクの香り、ほのかな塩味とブラックペッパー、これがビールにめちゃくちゃ合うんです。
材料も安くてそこらでに手に入るし調理も簡単なので、今後のおつまみリストのレギュラー入りです。
次は晩御飯です。
最近よく食べるサフランライスとタマネギ、ズッキーニをマスタードやカレーパウダー、コンソメで味付けした何か。
コレもなんやかんやで美味い。
…それにしても山脈越えた後にランニングして晩御飯作って晩酌してパソコンに向かう。
何なんだろうねこの体力?